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by はんきち

未だ観ぬデトロイトを想いながら

米国は、かつて暮らしたり、そして今は仕事で時折訪れたりしているのだけれど、デトロイトには行ったことがなかった。そのデトロイトが、今日から日本に来ているのだということを、みちのくの駅で偶然に買い求めた小説から知ることになった。

『デトロイト美術館の奇跡』(原田マハ、新潮社)。あれ・・?『ニューヨーク東8番街の奇跡』の模倣か?と一瞬頭を掠めたけれど、実は雑誌「芸術新潮」の今年の5~8月号に掲載された連載小説だそうだ。英文の題名まで付いている。‘DIA: A Portrait of Life'。DIAとは、デトロイト・インスティテュート・オフ・アーツだそうだ。

この美術館は、自動車産業が隆盛したこの市が営んできたもので、そこに暮らす富豪たちによっても支えられてきたものだった。しかし産業が斜陽化するとともに、その地の行政の財政が行き詰まり、美術館の運営にも危機が訪れる。美術品を売却して、行政の職員の年金に充当しようという声までもが持ち上がる。

そこで何が起こったのか。それが小説の題材だった。

登場人物は長年連れ添った妻を亡くし、その思い出が冷めやらぬまま彼女が愛したDIAに通い続ける男、フレッド、そしてDIAのキュレーターを務めるジェフリーと、DIA友の会のメンバーでもある裁判官のダニエルだ。

三人が創り出す奇跡の輪。それがその地区のみならず、全国にに広がって行きやがて・・・。

とても軽く読める小説なのに、秋風のそよぐような爽快感が残る一篇だった。そしてその中心となったセザンヌの『マダム・セザンヌ』を、無性に観に行きたくなった。

その一点も含まれている『デトロイト美術館展』は、今日から上野の森美術館で開催だそうだ。

■ "Madame Cézanne" by Paul Cézanne, about 1886, Detroit Institute of Arts
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United States public domain From: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Paul_C%C3つ%A9zanne_Madame_C%C3%A9zanne.JPG#file

デトロイト美術館の奇跡

原田 マハ / 新潮社

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by k_hankichi | 2016-10-07 18:59 | | Trackback | Comments(3)
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Commented by Oyo- at 2016-10-07 23:06 x
原田マハさんの新本、次々と出ているのですね。何故か、見つけられない・・・。ネットで求めるのがヘタクソで直接本屋さんで探して買うのですが最近歩き回るのが面倒になってきて・・困ったものです^_^;
Commented by maru33340 at 2016-10-08 05:42
早い!
この本は装丁が素敵だね。
まだ読んでないけどセザンヌ好きだから読まねば。
Commented by k_hankichi at 2016-10-08 09:54
おようさん、はい、次々と。原田さん、多作ですよね。
maruさん、うん、うん!