ようやく五嶋みどりのバッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ & パルティータ全集を取り寄せることができ、ここのところ毎日ずっと聴いている。
こちらの音盤も、先の演奏と同じく森の奥の木々と木々の間から流れ出てくるようで、その響きの余韻の深さに酔いしれていく。
さみしさとか苦しさとか、諦めであるとかいう感覚ではなく、「存在している」ということのじみじみとした感慨と、ある種の喜びがそこにある。
誰もいない空間のなか、森のなかでも、音楽というものが自分で自分を楽しませるのだということが伝わってくる。
これまで聴いた演奏のなかで、一番心に寄り添う、素晴らしいものだった。