ブログ知人の紹介が興味深くて思わず取り寄せてしまった。想像以上に玄人的な解釈本で、安易な気持ちで読み進めると立ち行かなくなる。すべての章を読む必要はないのだと気づいて、そこからは楽になった。『不明解日本語辞典』(高橋秀実、新潮社)。
いちばんグイグイと身を乗り出すようにして読んだのは、【つまらない】である。
“「つまらない」とは「つまる」の否定形だということだ。
その話はつまらない。
この文章は否定文である。これを肯定文に直すと、
その話はつまる。
ということになる。あまり見かけない文章だが、こうして比べてみると、「つまる」より「つまらない」ほうがよさそうな印象である。「その話はつまる」とは、行き詰るということで先が見えない。しかし「その話はつまらない」のであれば、何か通っていくようで展開しそうである。対比させるから新たなニュアンスを帯びるのかもしれないが、「つまならない」が「つまる」の否定なら、対比するのが筋である。「話」以外でも、例えば「鼻」や「喉」、「水道」にしても、「つまる」より「つまらない」ほうが良好な状態で、実は「つまらない」というのは有り難いことではないだろうか。”
これまでずっと不思議だなあと思っていた言い回しや言葉について、実に深く(用もないまでに深いところが玉に瑕だが)解析をしていて、もう参りました、という感じ。ぐうの音も出ない。
ん?
ぐうの音も出ないの「ぐう」って、一体何なのだろう?
ますます分からなくなってきました。