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by はんきち

『悪徳小説家』のエニグマ

台風が明けた夜に読了。『悪徳小説家』(ザーシャ・アランゴ、創元推理文庫)。原題:Die Wahrheit und Andere Lugen.

著者はベルリンで、コロンビア人の父とドイツ人の母との間に生まれたそうで、テレビドラマ、ラジオドラマなどの脚本家を経て、小説を出したそう。その第一作。

巻頭にはライナー・マリア・リルケの次の言葉が挿入されている。

「恐ろしいものとはすべて、
根底においては途方にくれたものたちで、
我々の助けを求めているのかもしれない。」

人の生きざまの実態を言い当てようとしているような箴言だけれど、小説の方は、予想を超えた独善的な似非小説家の遣りざまが描かれていた。自己中心的な人間とは、ここまで虚言と裏切り、そして偽善に走れるのか、と唖然とした。

主人公の小説家が最後に書いた作品の結末が不評だったというが、この小説の結末もとても尻切れトンボで、台風の朝の晴れ間を前にすると、その途方感が際限なく広がっていった。

悪徳小説家 (創元推理文庫)

ザーシャ・アランゴ / 東京創元社

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by k_hankichi | 2016-08-23 07:12 | | Trackback | Comments(2)
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Commented by Oyo- at 2016-08-24 06:58 x
小説と作家がダブっているのですね。意外と現代人はそんなもんですよ、と教えているのかもしれない(>.<)
Commented by k_hankichi at 2016-08-24 07:12
おようさん、はい。現代社会への痛烈な皮肉なのかもしれません。