週末に買い求めた音盤のひとつは、バッハの平均律クラヴィーア集からフーガだけを選んだもので、それを弦楽四重奏で演奏したもの。実に多彩な曲たちばかりだけれど、ピアノで聴くものよりも構築性が手に取るように分かり、そしてその重畳されたような効果が、あらたな夢幻の境地を作り出す。
この曲集は、ハイドンやモーツァルトと同時つぃのオーストリアの作曲家、エマヌエル・アロイス・フェルスターによって弦楽四重奏のために編曲されたものだそうで、なんと世界初録音だという。こんな素晴らしい曲集が、これまで知られていなかったということにも驚く。
蒸し暑い夏の日にも、バッハのフーガは高い蒼穹に吸い込まれていく。
■曲目:J.S.バッハ/フェルスター編曲:平均律クラヴィーア曲集から4声のフーガ集
■演奏:エマーソン弦楽四重奏団
ユージン・ドラッカー(ヴァイオリン)
フリップ・セッツァー(ヴァイオリン)
ローレンス・ダットン(ヴィオラ)
デイヴィッド・フィンケル(チェロ)
■収録:2007年12月、American Academy of Arts and Letters, ニューヨーク
■音盤:ユニバーサル UCCG-1392