音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です

by はんきち

長谷川宏の孤独感

ブログ知人が長谷川宏の本を読まれていたとき、僕も長谷川宏による詩にまつわるエッセイを読んでいて、奇なる縁を感じた。『思索の淵にて』(茨木のり子、長谷川宏、河出文庫)。

そのなかに孤独についての記載が有った。

“ 詩「青年」を読みながら思い出していたのだが、孤独をもてあましているそんなとき、駅のホームや、やや空いた電車のなかで、見も知らぬ人をじっと見つめていることがあった。赤の他人の視線などだれも気にしないのをいいことに、相手に気付かれぬよう視線を注いでいた。相手は決まって青年で、しかも詩にある通り、「浮かない顔/というより暗い/暗いというより鬱である/他人を拒否しシャッターを下してしまっている顔」をしていた。
 相手のようすに引きこまれてついつい目が行き、気づくとじっと見つめている、といった風情だったが、そのときわたしは、「浮かない顔」「他人を拒否した顔」に自分と同じ孤独の心を見て安心したかったのだと思う。一つの孤独は限りなくさみしいが、同じ孤独がもう一つ別の所にあると信じられれば、さみしさが柔らぐように感じていたのだと思う。相手について具体的になにかを知りたいとは思わなかったし、声をかける気も起らなかった。孤独な自分がここにこうしている。もう一人、孤独なだれかがあそこにああしている。それだけで十分だった。”(「孤独の顔」から)

長谷川さんは、そんな時期を越えて、いつのまにか孤独との対峙方法を変えていったという。それは、やみくもに本を読むとか、外国語の勉強に没頭するとか、孤独の思いをノートにつづるとか。そんな形で心の平衡を保とうとしたという。

大人になった人間は、どのように孤独と対峙していくのか。それはこうやって、殆ど意味もない事柄を、徒然に書き続けていくことなのかもしれないと思った。

思索の淵にて (河出文庫)

茨木 のり子 / 河出書房新社

スコア:


.
[PR]
by k_hankichi | 2016-08-06 08:08 | | Trackback | Comments(4)
トラックバックURL : http://hankichi.exblog.jp/tb/25872983
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by saheizi-inokori at 2016-08-06 09:23
右に同じです。
Commented by k_hankichi at 2016-08-06 12:50
saheiziさん、これからも宜しくお願いします。
Commented by Oyo- at 2016-08-06 20:38 x
それでいいのです。人間はみんな孤独です。そして反対に真の孤独は言葉で表現できない深いものだと思います。
Commented by k_hankichi at 2016-08-06 21:00
おようさん、はい、ありがとうございます。