朝からの蝉の鳴き声が力強い。紛いもない真夏になった。
子どもの頃といえば、夏休みの学校のプールや市営プールに毎日のように通い、唇が紫色になるまで楽しんだ。中学生時代はブラスバンドとプールの往復、高校時代は卓球とランニングとプールの繰り返し、大学になってもそれは同じだった。ときに麻雀が加わった。
夜を過ごすのは、クラシック音楽と小説で、だから一日はそれぞれが纏緬と続がって繰り返されていた。
思い出してみれば、昼間はあまり思考的には意味をもたらさないような事柄が連なっていて、しかし実はそういった事柄が自堕落に傾きがちな精神をバランスよく支えていたような気がする。
いま、会社の仕事に打ち込む毎日に対して、必要なことはもしかしたら学生時代のああいった昼間の世界なのかもしれないと、久しぶりにゆっくりと起床した朝にしみじみと思った。吐息さえ美しく感じる。
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