友人から武満徹のギター曲集を紹介されて、それをずっと聴いている。これは実に静けさのなかに沁み入る曲だ。さみしさがさみしさではなくなるようなほどの温かみを内包している。
武満が亡くなった年の秋に収録された音盤だそうだが、早くも彼が亡くなってから20年も経っているのだということに気付くと愕然とした。彼の音楽は20年のあいだに、更に世の中に広まっている。対する自分はあのころから数えるとどれだけの存在だったのだろうか。
しかしこの音盤を聴けばそんなちっぽけな自分の事柄は吹き飛んでしまう。雲散霧消するほどに珠玉のように美しい曲の数々。ちょっと難しい曲も入っているのだけれど、僕が気に入ったのはポピュラーな曲をアレンジしたもの。
サマータイムや、ビートルズの曲も良く、そして、何と、インターナショナルが素晴らしい。労働組合員だったころ、仲間と肩を組んで拳を振り上げて歌ったことを思いだす。
■イン・メモリアル・トオル・タケミツ
1.フォリオス(1974)
武満徹編曲:ギターのための12の歌(1977)
2.ロンドンデリーの歌
3.オーバー・ザ・レインボー
4.サマータイム
5.早春賦
6.失われた恋
7.星の世界
8.シークレット・ラヴ
9.ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア
10.ミッシェル
11.ヘイ・ジュード
12.イエスタデイ
13.インターナショナル
14.すべては薄明の中で(1988)
15.エキノクス(1993)
16.レオ・ブローウェル:HIKA(悲歌)
■演奏:福田進一
■収録:1996.10.6~9、秩父ミューズパーク音楽堂
■音盤:コロムビア COCO70936