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by はんきち

終わりが始まりに繋がる『マチネの終わりに』

平野啓一郎の『マチネの終わりに』(毎日新聞出版)が良いよと友人に言われて読み始めたら、一気に掴まってしまい、のめり込むように読了した。過日に読んだ乙川優三郎の『ロゴスの市』と同類のビルドゥングス・ローマンだった。

主人公たちの出会い、対話、触発、擦れ違い、誤解、理解。そういった事柄のひとつひとつが、僕自身の過去の記憶と軌跡に呼応する。心が温かくうち震える。

“「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」”

突然出会った一組の男と女は、そんな思考、世の中の把握に共鳴する。すぐに互いの気持ちを察知しわかりあえてしまう。

天才ギタリストである主人公の蒔野聡史は、バッハの無伴奏組曲第三番、ブローウェル、ロドリーゴ、ブラームスの間奏曲などに取り組み、魂を発露してゆくさまに、僕らは自身の若き時代の軌跡を重ねてしまう。

結末は素晴らしく、ようやく明日に向かって生きようという気持ちになった。

マチネの終わりに

平野 啓一郎 / 毎日新聞出版

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by k_hankichi | 2016-05-13 08:15 | | Trackback | Comments(4)
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Commented by maru33340 at 2016-05-13 08:30
なるほど。
こりゃ読まなくちゃ。
Commented by k_hankichi at 2016-05-14 08:41
素晴らしい作品でした。
Commented by Oyo- at 2016-05-14 10:47 x
読んでみたいです^^
Commented by k_hankichi at 2016-05-14 19:16
おようさん、ぜひともに、お薦めです。