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by はんきち

厚木の今昔、原宿の今昔

これまた友人から薦められた『黄色いマンション 黒い猫』という小泉今日子のエッセイ集を読了。スイッチ・パブリッシング。

厚木市生まれのキョンキョンゆえに地元ネタに溢れている。小中学校、高校生時代の話題が多いけれども今の話も時折混じる。一方で現在?住んでいる原宿の今昔についても盛りだくさんだ。

「スクーターズとチープ・トリック」という章では、本厚木駅北口にある彫像のことが話題にされる。キョンキョンは、モッコリおじさん(私なりの表現)と言う。その躊躇いの程度がよい。

実物は、重いハンマーのようなものを地面から引き上げようと頑張っている男だったように思うが、毎日その横を通っていてもあまり記憶に残らない姿なのだ。

しかしキョンキョンとその同級生たちは、彫像をつぶさに眺め観察していると知る。こんなことも驚きだ。

キョンキョンが小さかったころからの男友達が突然この世から消えたことで締め括られる章「リッチくんのバレンタイン」も心痛む。父親の墓参りをすることが書かれている別の章で、リッチくんの墓もかならず訪れていることを知る(明確には指し示されてはいないが)。キョンキョンの深い優しさが伝わってくる。

四ッ谷のビルから身を投げた後輩の章(「彼女はどうだったんだろう?」)にもじんとする。今でもとても深く思っていることが伝わってくる。

彼女は相手との会話や時間を、普通の人たちよりも数段も深く咀嚼し思いを重ねていることを知る。そしてそれは記憶としても軌跡としても大切にしまわれている。

それが小泉今日子の素晴らしさだと思った。

黄色いマンション 黒い猫【特典付き】 (Switch library)

小泉今日子 / スイッチパブリッシング

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by k_hankichi | 2016-04-28 07:57 | | Trackback | Comments(2)
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Commented by maru33340 at 2016-04-28 08:52
そう、彼女の持っている思い出す力、その眼差しの優しさと淋しさがその文章の魅力の源にあるなあ。
Commented by k_hankichi at 2016-04-28 17:44
maruさん、大切なことを気付かされますよね。