ペテロに惹かれて読んで落胆する

レンブラントの「聖ペテロの否認」(1660年、アムステルダム国立美術館蔵)が巻頭に入っていて、おもわず買い求め、出張中の車内で読了。『ペテロの葬列(上、下)』(宮部みゆき、文春文庫)。中身が全く違っていて、見掛け倒しとは、こういうことをいうのだと思った。

“ペテロがもっと臆病な人だったなら、嘘をつかずに済んだのよね。勇気と信念があったばっかりに、恥に苦しむことになった。正しい人だったからこそ、罪を負った。それが悲しい、といった。嘘が人の心を損なうのは、遅かれ早かれいつかは終わるからだ。嘘は永遠ではない。人はそれほど強くなれない。できれば正しく生きたい、善く生きたいと思う人間であれば、どれほどのっぴきならない理由でついた嘘であっても、その重荷に堪えきれなくなって、いつかは真実を語ることになる。それならば、己の嘘を嘘と感じず、嘘の重荷を背負わない者の方が、いっそ幸せではないか。どんなペテロにも、振り返って彼を見つめるイエスがいる。だから我々は嘘に堪えられない。だが、自分にはイエスなどいない。イエスなど必要ないと思うものには、怖いものは何もないだろう。”(下巻から)

宮部みゆきにはこれからは近寄るまい、と思った。

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ペテロの葬列 上 (文春文庫)

宮部 みゆき / 文藝春秋

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ペテロの葬列 下 (文春文庫)

宮部 みゆき / 文藝春秋

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by k_hankichi | 2016-04-23 11:56 | | Trackback | Comments(0)

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