仁義なき戦いへのオマージュ

出張への機内で映画も観ずに貪るように読了したのは『孤狼の血』(柚月裕子、角川書店)だった。友人が、お薦めだと貸してくれたもの。

警察ものの小説というやつは、シャーロック・ホームズぐらいが僕の範疇で、日本が舞台の作品を読むのはこれが初めて。さらにやくざ(それも広島県)が絡んでくるのだから、なんとも見知らぬ世界。

ところが、である。ぐいぐいと引き込まれる。あまりの世界の生々しさと、人情と仁義に溢れる世界に、自分は広島の小料理屋でのお客やら、雑貨屋の主人やら、金貸しの同僚になる。

はらはらどきどきの世界に接しているうちに、自分は刑事ややくざの人に、何か一言も二言を、恐れ多くも声を掛けられるような仲間意識になっている。

読み終えたときには、僕は結局刑事になっていて、主人公の大上章吾、あるいはその遺志が託された日岡秀一になっていることに気付いた。

友人曰く、「『仁義なき戦い』へのオマージュ」。自分の矜持を保つことを規範とする男たちの姿勢は、どこまでも凛々しかった。

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孤狼の血

柚月裕子 / KADOKAWA/角川書店

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by k_hankichi | 2016-04-10 09:15 | | Trackback | Comments(0)

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