音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です

by はんきち

『シャルリとは誰か?』・・・自分らの心に警鐘を鳴らすとき

ブログ知人が暫くまえに読まれていて、深刻そうに思えて少し躊躇していたのだけれど、読んで良かった。『シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧』(エマニュエル・トッド、文春新書)。

僕はこれまで、西欧の政治、思想や人々の思考・行動について、やっかいで難しいものだから、と遠ざけてきた。そして音楽や文学の世界に安穏とした栖を求めるべく甘えていた。そのことを痛切に感じた。

初めてゾンビ・カトリシズムという言葉を知り、その生い立ちについて理解した。著者はフランスではカトリシズムが死んだとも明言する。サブカルチャーとしては残存するものの。

“マーストリヒト条約(注:1992年)に先立つ30年間、フランスの政治的・右翼のカトリック系有権者が左翼へと地滑りしていくという現象であった。(中略)フランス・キリスト教労働者同盟(CFTC)が宗教色を払拭してフランス民主労働同盟(CFDT)になったし、いわゆる「第二の左翼」が、旧いタイプの世俗主義や儀式化した社会主義に忠実であることにとどまっていた「第一の左翼」よりも優勢になった。”

読み進めるほどに、この事件が、ナチズムに通じる民族差別を、いとも平静に一般市民が、それも自己の正当化をしながら、おこなってしまえる、ということに気付く。

翻って見ると、日本に住む我々自身も、そのようなことをしてはしまいか。スキームや対象は異なれども。

そのように変貌してしまいかねないのが、どこにでもいるだろう我々一人一人なのだ。

c0193136_22230897.jpg


シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧 (文春新書)

エマニュエル トッド / 文藝春秋

スコア:


  
[PR]
by k_hankichi | 2016-03-29 00:13 | | Trackback | Comments(6)
トラックバックURL : http://hankichi.exblog.jp/tb/25459634
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
Commented by saheizi-inokori at 2016-03-29 10:58
「自由・平等・博愛」がかえって不自由・差別・仲間以外の排除に結びついていくようにも見えます。
自由なんだから、平等なんだから、差別したり貧しいのは個人の問題なんだと。
Commented by k_hankichi at 2016-03-29 21:50
saheiziさん、ほんとうに痛感します。そして自分自身をも戒めます。そういったバイアスに入っていかぬように。
Commented by Oyo- at 2016-03-30 11:01 x
フランス映画「最高の花婿」を観てきましたが4人の娘たちが皆それぞれ違う外国人でユーモアあふれる内容でありました・・・が人種差別にも繋がる強烈な言葉の端々に人間の本質を垣間見、個々が常に理性を持ち続けなければ良い社会は成り立たない・・・がんばりましょうね。
Commented by k_hankichi at 2016-03-30 19:36
おようさん、フランスは、最早そこまで来てしまったのでしょうか?吐息溜め息が・・・。
Commented by Oyo- at 2016-03-30 23:09 x
かなりのドタバタ劇でしたが厳しい現状を感じ取りました。娘たちの相手たちはユダヤ人、アラブ人、中国人、黒人で様々の宗教儀式や食事マナー、異文化への驚き等々極端ではありましたがやはり大変な欧州です。心配は尽きないようです。
Commented by k_hankichi at 2016-03-30 23:17
おようさん、そんなに多様化している話なのですね。