途方もなくオッカナイ死神・・・シベリウスの『イェーダーマン (Jedermann)』
シベリウスの『イェーダーマン (Jedermann; フィンランド語でJokamies) 』op.83という劇音楽のCDを買った。日本語訳は「誰もかれも」である。友人に見せびらかすと「冒険的やなあ」と言われたのだけれど、なかなかどうして、素晴らしい曲。名曲の交響曲第5番 変ホ長調 op.82に続いて作られた曲だ。フィンランド国立歌劇場は1916年にこの物語のための音楽をシベリウスに依頼し、その11月に初演されている。
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http://www.sibelius.fi/deutsch/musiikki/nayttamo_jokamies.htm
劇は、ヒューゴ・フォン・ホフマンスタール(Hugo von Hofmannsthal)によるもので、日々、かね、かね、かね、と金儲けにあくせくしている金持ちのイェーダーマンを通じて、すべての人たちに警鐘を鳴らす。ある日、イェーダーマンは知人や恋人を招いて大宴会を催すが、不意に鐘が鳴り、彼を連れてゆくために死神が現われる。イェーダーマンは友人や恋人に助けを求めるが誰も助けてくれない。金の神(マモン)からも見捨てられる。そこにやせ細った女の姿をした「善行」が現われて、姉の「信仰」を呼び、イェーダーマンの信仰を確かめる。イェーダーマンは祈り、悪魔に対して善行と信仰、天使に身を守られながら、晴れ晴れとして墓の中に入ってゆく。
死神が現れるのが、後半の「ラルゴ」というセクションで、聴いた瞬間、まさしく死神の顔が見えた。不安定なる上昇と下降の音階は、今まで聴いた旋律のなかで一番オッカナイと思った。
■ここの12曲目 XI. Largo, sempre misteroiso →
http://www.e-onkyo.com/music/album/nxa8573340/■曲目
1. 劇音楽「イェーダーマン」 Op. 83
2. 2つの小品 Op. 77 (チェロと管弦楽版)
- No. 1. Cantique: Laetare anima mea
- No. 2. Devotion: Ab imo pectore
3. イン・メモリアム(葬送行進曲) Op. 59 (最終稿)
■演奏
ピア・パヤラ - Pia Pajala (ソプラノ)
トゥオマス・カタヤラ - Tuomas Katajala (テノール)
ニコラス・セーデルルンド - Nicholas Soderlund (バス)
アボエンシス大聖堂聖歌隊 - Chorus Cathedralis Aboensis
トゥルク・フィルハーモニー管弦楽団 - Turku Philharmonic Orchestra
レイフ・セーゲルスタム - Leif Segerstam (指揮)
■収録: 2014.1.20-24, 2.3-7, Turku Concert Hall, Turku, Finland
■音盤: Naxos、No 8.573340