マタイ受難曲が魔界(マカイ)に響く

件の川崎でのマタイ受難曲はマチネーだったから、夕方から夜の時間がたっぷりあった。

会場を出てそのまま陸橋を渡ると、そこには昔ながらの駅前アーケードが拡がっている。その名も「銀柳街(ぎんりゅうがい)」。

ん・・・?聞き覚えのある名前だ。テレビドラマ『太陽にほえろ!』のなかで出てきたやつか?(いやいや、あちらは銀竜会らしい。)

いずれにせよ、このアーケードに足を一歩踏み入れた途端に、時代は30年は遡り、一気に昭和感満載。B級日本映画のシーンに入り込んだかのよう。JRの駅にの真ん前とは思えない。

わくわくしながら酒場を探せば、早くから満員になっている飲み屋がある。名前もズバリ「一軒め酒場」。驚くほど安い値段の酒と料理ばかりで目を白黒させながら、マタイ受難曲のことを回想する。

ほどよく出来上がったところで、場所を変えるべくさまよえば、セロニアス・モンクによるジャズの名曲を冠したジャズバーに出会う。

恐る恐る扉を開けてみれば、相手も驚くように顔を出す。マスターだった。まだ開店前ですがどうぞ、と招き入れられ、席につく。

音楽をかけますねと、ジャズが流れ始めるが、待てよ?と頭を巡らせてみて口にだしてみる。

「このCDをかけてくれませんか?」
「良いですよ、新しいお客様がいらっしゃるまでは」

おごそかに曲が流れ始める。

先ほどまで聴いていた演奏家たちによる、先ほどまで聴いていた作品。

銀柳街の路地裏の魔界に、マタイ受難曲が初めて流れ、聖なる場所と変化し、その夜が静かに深く沁み入ってゆくことを予感させた。

■演奏:聖トーマス教会少年合唱団、ゲオルグ=クリストフ・ビラー指揮、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団。
■収録:2006年4月12~15日、6月17~19日、聖トーマス教会、ライプツィヒ
■音盤:Rondeau ROP4020b(コンサート会場で購入)

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Commented by Oyo- at 2016-03-14 09:38 x
ちょちょっと待って!^^ その地の違和感メロディー、一刻も早くビラー指揮と聴き比べたいお気持は解りますが(●^o^●)
Commented by saheizi-inokori at 2016-03-14 10:11
そのCDを買えばよかった、と地下鉄に乗ってから思いましたよ。
Commented by k_hankichi at 2016-03-14 21:33
みなさま、それほどまでにマダイとライプツィヒ、追随せざるを得ませんです。追っかけ、になる人の心境が分かりました。
by k_hankichi | 2016-03-14 00:15 | 街角・風物 | Trackback | Comments(3)

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by はんきち