シャガールの言葉

件の『ユダヤと近代美術』のなかに、シャガールの「ユダヤ美術」についての言葉があった。とても深くて、哀しくで、どうしようもなくなった。

“(前略)でも、私には思えるのです。もし私が(私がこの言葉にこめた意味での)ユダヤ人でなかったら、私は芸術家にはなっていなかったでしょう。あるいは、まったく異なった芸術家になっていたでしょう。
何か新しいことでも?
私には、この小さな国に何ができるのかよくわかっています。
残念ながら、何ができるのか、ひかえめな私には大きな声では言えません。
この小さな国がなしとげてきたのは決して小さなことではありません!
この国が望めば、キリストとキリスト教を生みだしました。
この国が望めば、マルクスと社会主義を与えました。
その国がなんらかの芸術を世界に見せられないなどということがあるのでしょうか。
見せられますとも!
だめなら私を殺してもらっていい。
・・・・” (モスクワの文芸雑誌『シンドローム』(奔流)へのシャガールの寄稿)

ホロコーストがおこなわれる時よりもはるかに前の、第一次世界大戦後の三年後に、書かれたことである。

祖国を持たないユダヤ人にとって、何をすれば認められるのか、ということを、ずっとずっと考え続けてきたその片鱗がそこにあった。
 
この圀府寺司さんの本の最後は、次のように締めくくられている。

“私の魂のなかに生きている国
それだけが私の祖国”

シャガールが1946年、亡命先の地からパリに戻り、ユダヤ文化連盟の会合で語った、彼の心に浮かんだ詩「わが祖国」の冒頭と結びの二行である。

■『私と村』(マルク・シャガール、1911年、ニューヨーク近代美術館)
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https://en.wikipedia.org/wiki/Marc_Chagall#/media/File:Marc_Chagall,_1911,_I_and_the_Village,_oil_on_canvas,_192.1_x_151.4_cm,_Museum_of_Modern_Art,_New_York.jpg
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Commented by Oyo- at 2016-03-10 20:08 x
本、求めて読み始めています。
Commented by k_hankichi at 2016-03-10 22:36
おようさん、深い溜め息に包まれますよね。
by k_hankichi | 2016-03-10 06:52 | | Trackback | Comments(2)

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