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by はんきち

「ん?」は気持ち半分ほど肯定の質問形だった

片岡義男の『言葉を生きる』(岩波書店)を読了。作家となるまでの、言葉にまつわる様々な経験や記憶が語られている。

片岡さんは幼少期から日系二世の父親と、岩国の純粋に「和」な母親のあいだで、言葉に極めて鋭敏なかたちで育てられた。

バイリンガルなことは良く知られているが、その彼が日本語を見つめる視点もユニークだ。「好きな日本語」という章は面白かった。

“アメリカ人のジャーナリストの男性が、有楽町の外国人記者クラブで僕と気楽な夕食をとっていたとき、話題の途切れ目で彼がふと言ったのは、この「ん」をめぐる次のような感想だった。「きみが日本の人たちとカジュアルに話をするとき、きみは「ん」という音を頻繁に用いるけれど、この音は僕にとってはじつに奇妙なものだよ」”

そして片岡さんは纏める。日本語のなかで「ん」は、リズムをつくり間をはかり、当事者間の円滑さを調節する。音声としてはすべてを整えるリズム、そして意味としては肯定という、ふたつの機能を持つ。英語の「yes」は、単なる言語でありそこが違うのだと。

つぎのような説明には、さらに思わず両手を打ちそうになった。

“なにほどかの留保をつけた上での、気持ち半分ほどの肯定、さらには、それを少しだけ越えて、いまのところ自分は不賛成かな、という立ち位置を、このような言いかたによって相手に伝えることが出来る。語尾を上げて、「ん?」と、質問形にすることも出来る。”

僕もメールで、よくこの表現を使うのだけれど、実に含蓄のある言葉(といってよいだろう)なんだなあ、と思った。

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言葉を生きる

片岡 義男 / 岩波書店

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by k_hankichi | 2016-03-04 07:32 | | Trackback | Comments(6)
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Commented by maru33340 at 2016-03-04 07:58
ん?これはまだ読んでなかった。読みたし。
Commented by k_hankichi at 2016-03-04 08:29
片岡さんの若き時代の記憶。半端ではありません。
Commented by Oyo- at 2016-03-04 11:28 x
「ん?」この表現、はんきちさんもよく使っていらっしゃいますでしょ(*^_^*) 見えるのでござる・・・なんて^^
Commented by k_hankichi at 2016-03-04 18:01
ん? おようさん、どうしてそれを・・・?
Commented by Oyo- at 2016-03-04 21:18 x
ほらほら(^o^)
Commented by k_hankichi at 2016-03-04 22:56
ありゃーっ!