しとしとと雨垂れがする音に気づいて、目をしばしばさせていると、うっすらと明るみが射してくる。朝のその時間のながれが其ほどまでにゆっくりしていて、しんみりしていることを今更ながらに知る。
昨晩に読了した小説『また、同じ夢を見ていた』(住野よる、双葉社)の余韻が深まっていった。
読み終えたときには、何だ、これ?、訳分からん作品、という感じだったものが、時が経るにつれて意味を持つようになっていったのは不思議だった。
そしてこれが、孤高が過ぎての孤独の淋しさから、幸福とは何かについて考えることで、少しずつ救われて行く過程を示していたのだと気づいていった。
主人公が、経験したことは、夢のなかだけではない。彼女の心のなかや実際の友達たちや先生との対話をし小説を読み、それらの間を漂うにして、マンションのベランダから遥か彼方を観遣りながら空想してきたことなのだと思った。
人のことを思う。人のために考える。
そういうことだ。まだまだ出来ていない僕は、この主人公と同じだった。