『文士の友情』を楽しむ

安岡章太郎といえば、僕の中高生時代によく寄った場所が舞台の『サアカスの馬』であり、先輩だと思うだけで親しみがあった。もちろん、つぶらな馬の目の描写も忘れられない。

それ以外の彼の作品を読んだ記憶が殆ど無いなか、ひょいと読み始めたエッセイは珠玉だった。『文士の友情』(新潮文庫)。

“吉行に限らず私たち第三の新人の中で、芥川賞をとって直ぐ飯の食えるようになった者は誰もいなかった。吉行には感覚的にすぐれた天分があり、文章に切れ味の良さがあった。しかし、その反面、小説の中で自分の感覚的な表現をいちいち説明せずにはいられないような、へんな用心深さがあって、それが逆に感覚の鋭さを損なう場合もある。つまり気を回し過ぎるのだ。”(「吉行淳之介の事」より)

良き理解者の友人を持つ幸せというものは、こんな感じに包んでくれている状態なのだなあ、と思った。

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文士の友情: 吉行淳之介の事など (新潮文庫)

安岡 章太郎 / 新潮社

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by k_hankichi | 2016-02-26 07:23 | | Trackback | Comments(0)

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