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by はんきち

『寂(さみ)しさの力』に、さみしさを想い出す

中森明夫の『寂(さみ)しさの力』(新潮新書)を読了。さみしかった。そして著者は僕と同じ派なのだと確信した。

曰く次のよう。

“孤独とさみしさは違う。私はそう考えるようになりました。孤独だけれどさみしくない人もいれば、大勢の人に囲まれていてもさみしくてたまらない人だっている。実際、私は一人でいる時より、にぎやかなパーティー会場にいる時のほうが、ずっとさみしくなります。”(「序章 人はなぜ泣きながら生まれるのか?」から)

作家でありアイドル評論家でもあり、「おたく」という語の育ての親でもある著者は、さみしさを抱えているほどアイドルは人気が出るとも言及する。ああ、なるほど、と思うアイドルの名前が次々とでてくる。

人のことばかり言うのではなく、自分のさみしさ(孤独ではない)についても織り混ぜる。見下さず見上げる境地がいい。

モンテーニュも、『エセー』を書いたときそうだったと彼は想像する。そのモンテーニュの影響を受けた一人の知識人まで紹介されている。彼の回想録『昨日の世界』までが引用される。

シュテファン・ツヴァイク・・・。

いきなり僕は我に返る。大学一年生の頃に自分が居る。

ドイツ語の授業で、若い先生の気を惹こうと「好きな本はツヴァイクの『昨日の世界』です」と答案の横に書いた。

なぜ自分は文系ではない途にいるのか・・・。悔いていた。その気持ちが甦る。

異端児を夢見ながら、そうなれなかったあのときも、さみしかった。

今もさみしい。

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寂しさの力 (新潮新書)

中森 明夫 / 新潮社

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by k_hankichi | 2016-01-23 07:50 | | Trackback | Comments(2)
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Commented by およう at 2016-01-23 14:07 x
またまたすごい!ツヴァイク、大学生のとき、若きドイツ語のLehrerへの答案用紙の横に・・・。やはり寂しさはつのりますねー^^ 
Commented by k_hankichi at 2016-01-23 14:54
おようさん、何故かむかしのことを、鮮やかに思い出すことがあります。