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by はんきち

中村文則を読み始めた・・・『掏摸(スリ)』

中村文則という小説家が居ることを知らなかった。芥川賞も受賞しているそうで(2005年)、どんなものか興味が湧く。まずは2010年の作品、『掏摸(スリ)』を読んだ。

これまで味わったことがない種類の感覚に捉われた。そして読みながら息を殺していることにも気づく。自分が、そっと音を立てずに呼吸をしているのだ。

スリルとサスペンス、とよく言うけれど、まさにそういうもので、自分の手指の先が掏摸のそれになったかのような気持ちになる。ちょっとでも身体の動きと指先の動きがずれたならば、気付かれてしまうのではないか。手首を押さえつけられて捕まってしまうのではないか。

生か死か、明らかではない結末なのに、なぜかフラストレーションが溜まらない。それでも良いのだ、という気持ちになる。掏摸をする人間の世界は、一か八か、表か裏かなのだ。

そして気づく。僕らが生きる世界も、実は一か八かなのだ、と感づいていることに。

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掏摸(スリ) (河出文庫)

中村 文則 / 河出書房新社

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by k_hankichi | 2016-01-14 06:55 | | Trackback | Comments(2)
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Commented by およう at 2016-01-14 17:10 x
一か八か・・・メキシコの逃亡犯を思い出しました。監獄から穴を掘って逃げた人!
Commented by k_hankichi at 2016-01-14 18:39
おようさん、そうですね。生死を賭けている感じです。