『もうひとつのショパンコンクール』・・・知らなかった世界
録画してあったBS1スペシャル「もうひとつのショパンコンクール~ピアノ調律師たちの闘い~」を観た(12月23日、再放送は1月3日)。これまで知ることのなかった世界でとても面白かった。
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http://www.nhk.or.jp/docudocu/program/2443/1623425/index.htmlこのコンクールでは、演奏者は自分でピアノを選ぶことができる。対象はスタインウエイ(Steinway & Sons, アメリカ・ドイツ)、ファツィオリ(FAZIOLI, イタリア)、ヤマハ、カワイ。ピアニストだけではなく、それを支えるピアノメーカーと調律師たちも、熾烈な競争を繰り広げている。
ファツィオリの紹介がされる。イタリア北部のサチーレという小さな町に34年前に創業した。職人は40人。年間120台しか製造しない。しかし音についての趣向を極めつくそうとしている。木材の一部には、ストラディバリのヴァイオリンに使われた森から採られているそう。
この会社の調律師を務めているのが越智晃という日本人(スタインウェイから転職した)。百万人に一人という耳の良さを持っているという彼が狙うのはどんな音なのか。
ショパンに合った柔らかさと艶を設計したのだけれど、それは受け入れられない。鍵盤のメカ機構を、チャイコフスキーコンクールで好評を博した太くてはっきり響くものと、総入れ替えする。然してこれを選んでくれるピアニストはいるのか?
対してカワイのピアノの評判が描かれる。ヨーロッパ、そしてポーランドでもとても好まれているという。低音が効いて、まろやかな音色だそうだ。カワイの戦略はピアニストとのダイレクトなコミュニケーション。日本の伝統商法は、勝利を収めるか。
そして老舗のスタインウェイ。また日本での帝王ヤマハ。彼らは、競合相手を傍観したままなのか。世界と極東の覇者はどのように対抗するのか。
音楽と並走する大きなドラマだった。
From: https://it.wikipedia.org/wiki/Fazioli#/media/File:Fazioli-moscow.JPG