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by はんきち

『水晶萬年筆』を読み空想に浸る

みちのくに向かう途上で短篇集『水晶萬年筆』(吉田篤弘、中公文庫)を読んだ。表題作が良かった。

「夥しい」という形容詞のなかにある「夥(オビタダ)」が本名のオビタダ君が或る町に住むことになり、毎夕銭湯に行ったり、おでん屋に行ったりしながら、日々を過ごす話だ。

おでん屋の名は「つみれ」といって、その店名と同じ名の若い女が営んでいる。

しだいに会話をするようになってゆくうちに、女の父親が描いたという絵を一緒に見に行くことになる。

小説の結末は、自分の知らない相手の奥を知りたいという惹き合う気持ちを、絵を通して暗喩するもので、僕は自分の空想の世界に入り込んでいった。ちょうどバッハの『クリスマス・オラトリオ』の二つの女声のアリアを聴いていたから、さらに夢のなかにいるように幻想的になった。
 
このほかにも五つ短篇があったが読み通せたのは『雨を聴いた家』だけだ。あとは始めの数行で頭に入ってこなくなった。ロクロク読んでいないから若しかすると佳作だったかもしれない。

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by k_hankichi | 2015-12-24 07:40 | | Trackback | Comments(4)
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Commented by maru33340 at 2015-12-24 18:28
この人の小説は、時々入り込めなくなる時がありますなあ。
なんでだす?
Commented by k_hankichi at 2015-12-25 01:24
maruさん、それは彼の「小説を書かねば」という気持ちが我々にそう感じさせるのです。その証拠にエッセイから発展した小説にはそれを感じさせません。
Commented by およう at 2015-12-25 14:44 x
読んでないのでわかりませんが何か春樹っぽい・・・?
Commented by k_hankichi at 2015-12-25 18:50
おようさん、だいぶん違う小説です。『木挽町月光夜咄』を、まずお薦めします。