『skmt 坂本龍一とは誰か』のなかで絶賛されていた、野口晴哉の著書『風邪の効用』(ちくま文庫)を読んだ。
野口さんは整体の大御所だということで、生活していく上での身体の保ち方、不調への処し方、風邪を引いた際の対峙の仕方について書かれている。
“けれども端的に言えば、ふだんから一番疲れが溜まっている処、ふだん余分に使っている処、そこに手を当てて感応をはかればいい。それだけやればいいのです。だから、風の操法の説明としては、潜在疲労個処に対する愉気です。
そういう処はもう愉気を要求している。体が恢復しようとする動きが風邪の現象だから、鈍ったままだったら風邪を引かない。風邪を引くということ自体が、もう治ろうとする要求だから、感応をはかりさえすれば良くなる。実際、そうすると皆一晩で通ってしまう。風邪を二晩も三晩も宵越ししたなどというのは相当鈍い体で、まあなるべくなら引いたその日のうちに良くなるような、早いうちに風邪をひけるような体になっているのがいい。三日も四日もかからなくては抜けないというほど鈍くなっていたのではいけないが、それでも風邪を引くうちはまだいい。”(「風の活用」より)
“風邪を引いたら、まず体内の力を抜いて体を弛めてしまうのです。弛めれば汗が出てサッサと経過してしまう。ところが自分では弛めたつもりなのに、体の一部は硬張ったままでいる。そこへ力を集めて抜く。抜こうとしただけでは弛まないが、一旦力を集めて抜くと抜ける。それを硬張った処に順々に行なう。”(「風を引いたら弛めること」から)
背骨で呼吸をして、背骨て息をして、息をズーッと背骨に吸い込む、ということをしていくと、背骨に少し汗が出てきて、治るというようなことが書かれている。おお、気功師のようなことか。自分ではどうやればよいのかわからない。
しかしここのところ、仕事であちらへこちらへと、慌ただしく行き来していた疲れが溜まってか、身体や頭がずしんと重くなっていて、これは風邪だろうと思っていたところなので、肩の力を抜く、そして気持ちを背骨に通していくということをやってみることにした。
よくわからないけれども、ワサワサした事柄が自分から抜けていくように思った。それくらいでちょうど良かった。