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by はんきち

堂に入った敬礼が更に堂に入る小津安二郎の演技指導

原節子が亡くなって、寂しい気持ちでいっぱいだけれども、彼女が出た映画や小津の作品の数々は不滅である。先の週末は遠出はせず、寝転んで本を読んだりゆっくりとした時間を過ごしていた。

松竹が編集した写真ムック本『小津安二郎 新発見』(講談社)もそのなかの一冊で、特に、小津監督が俳優に演技指導をするシーンが良かった。

『秋刀魚の味』の飲み屋の場面で、小津さんは笠智衆と加藤大介に敬礼のポーズについて演技指導する。ネクタイの結ぶ仕草を佐田啓二に示す。『浮草』の終わりのほうでの駅の待合室で、中村鴈治郎の煙草に火を点ける手つきを京マチ子に示す。

笠智衆の敬礼からは、彼の優しい心が伝わってくる。佐田啓二の気取った感覚が伝わってくる。鴈治郎の紫煙が安らぎに変わりラストの汽車の灯に思いを馳せる。

ちょっとした眼差し、仕草、手つき、姿勢のなかにも、小津さんは思いを込める。

僕らのいまの日々の生活のなかでも、こういったことが大切なことなのだ、と改めて気付いた。

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小津安二郎新発見

講談社

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by k_hankichi | 2015-12-01 00:21 | | Trackback | Comments(2)
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Commented by maru33340 at 2015-12-01 07:21
『浮草』のあのシーンは良うおましたな。
雨降る軒下でのシーンと並ぶ名場面だしたなあ。
Commented by k_hankichi at 2015-12-01 07:52
maruさん、良いシーンですよね。雨降るなかで互いに、ののしりあう壮絶な喧嘩をしたあとの結末なので、尚更です。