友人から聞き知って『帰ってきたヒトラー』を読んだ。ティムール・ヴェルメシュ著、河出書房新社。
戦争末期に自死したアドルフ・ヒトラーが、2011年8月に突然甦ったところから話が始まる。彼は70年近く経ていることに始めは気がつかない。しかしだんだんと理解し、周囲と関わり始める。
語りかけられるひとたちは、彼が単なる物真似芸人だと思っている。しかし彼は正真正銘のヒトラーだ。
ビシッとしたヒトラーの見解や、政治、歴史解釈に人々は驚き、当惑もし、しかしやはり、「一介の芸人のくせに」と揶揄する。
ヒトラーはへこたれない。実にまっとうなる答弁を繰り広げていく。
彼はどうなるのか?そしてこの世界は?
小説の最後は、なに?なに!
というもので、そこに投げ出され、放置された僕は途方に暮れた。