まったく新しい恋愛奇譚・・・『めぐりあう者ども』

じつに不思議なる、生きとし生けるものの幻想的なる新刊小説だった。動物的人間としての宿命を背負った者ども(それも人間と狼の間に生まれた者ども)の生きざまと恋愛の不可思議さを描いている。ぐいぐいと惹きこまれ貪るように読んだ。『めぐりあう者ども』(菊池英也、幻戯書房)。

東京の高層ビルの立ち並ぶあいだにある公共空間で、男は、大口まがみという女性獣医師と霊感的に知り合う。互いが互いを呼んでいた。そして彼らの関心が向かう先は、それぞれの出生の場所と思われる場所、秩父の三つ鳥居神社だった。

そこに足を運ぶたびに、何者かが彼らの頭上をかすめる。想像はやがて確信に変わる。二人が深く結ばれるようになると、まがみの挙動は不自然になっていく。そして彼女は・・・・。

少年のころに『おおかみ王ロボ』や『偉大なる王(ワン)』を読んだときの感覚と類似したものが、心のなかに吹いている。或るひとつのことを達成したのにも関わらず、物哀しい寂寥がある。

僕らが生きている世界や空間の中では、たくさんの人たちと会話したり接したり交流したりしているが、そのなかでも、時たまに「この者(ども)となにか親近感がある」と強く感じる場合がある。この小説を読んだあと感じるのは、それは親近感ではなくて、「同族・同類・同種族」であるという真の現実なのだ、ということだ。

同類の魂、同類の血というものは、過去から現在に繋がり、そして未来に繋がっていく。

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めぐりあう者ども

菊池英也 / 幻戯書房

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by k_hankichi | 2015-10-18 00:15 | | Trackback | Comments(0)

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