厳しく過去と向き合う国『顔のないヒトラーたち』

朝から有楽町に出かけて、ドイツ映画『顔のないヒトラーたち』(原題:Im Labyrinth des Schweigens)の封切りを観た。→http://kaononai.com/

これは、衝撃だった。ナチスが行ったユダヤ人大量虐殺のなかでも最悪がなされたアウシュヴィッツに関して、フランクフルトの地で自国民が自ら裁きを挑んだことを描いたものだった。それは、自分の父親世代の出来事を、若い世代が問いかつ正していく、身を切るような極めて真摯なる取り組みの過程。

Wikipediaによると次のようにある。

■フランクフルト・アウシュビッツ裁判(der Auschwitz-Prozessまたはder zweite Auschwitz)
1963年12月20日から1965年8月10日までフランクフルトで行われた裁判であり、ホロコーストに関わった収容所の幹部ロベルト・ムルカ(de:Robert Mulka)らをドイツ人自身によって裁いた裁判をいう。ニュルンベルク裁判において裁かれなかったナチスの過ちに対する責任が問われたことがきっかけで行われた。正式名称はムルカ等に対する裁判。

アイヒマン事件のことは、映画『ハンナ・アーレント』で知っていたけれど、あれがイスラエルの諜報特務庁(モサド)によってイスラエルに連行されての、国外での裁きだったということが、遅ればせながらやっと理解できた。こちらのものは、外国ではなく、ドイツでの自らによるものであるということが、とても重要である。

こういう意味で、では、われわれの国ではどうだったのか、ということが頭に上る。戦争裁判そのものは、すべてが戦勝国によって行われたものではなかったか。たとえ、それが東京で行われたものであろうとも。

自国民により自国の不正を厳密に暴くこと。そのことの崇高なるまでの大切さが、心に深く刺さった。一級国ということになるためには、どういうことが必要なのかということも分かった。
 
それはそれとして、裁判官の恋人、フリーデリーケ・ベヒト(Friederike Becht)は、とても溌溂としていて美しかった。映画『ハンナ・アーレント』で若きハンナ・アーレントを演じていたことを、あとから調べて知った。改めて、ため息をついた。

■スタッフ
監督:ジュリオ・リッチャレッリ
製作:ヤコブ・クラウセン、ウリ・プッツ、サビーヌ・ランビ
音楽;ニキ・ライザー、セバスチャン・ピレ
■キャスト
アレクサンダー・フェーリング:ヨハン・ラドマン
フリーデリーケ・ベヒト:マレーネ
アンドレ・シマンスキ:トーマス・グニルカ
ヨハン・フォン・ビューロー:ハラー検事
ヨハネス・クリシュ:シモン・キルシュ
ゲルト・フォス:フラッツ・バウアー検事総長
ロベルト・ハンガー=ビューラー:ウォルター・フリードベルク検事正
ハンシ・ヨクマン:秘書
ルーカス・ミコ:ヘルマン・ラングバイン
■製作:2014年、ドイツ。

c0193136_20302503.jpg

■フリードリッケ・ベヒト(from http://agenturlux.de/weiblich/friederike-becht)
c0193136_22233435.jpg

■映画トレイラー →https://youtu.be/DXuUHFBV1EA

  
 
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by k_hankichi | 2015-10-04 00:19 | 映画 | Trackback(3) | Comments(7)
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Tracked from 梟通信~ホンの戯言 at 2015-10-04 10:27
タイトル : 安倍政権NO!大行進&「ヴァイマル憲法とヒトラー」(2)
昨日紹介した、「ヴァイマル憲法とヒトラー」は、単にナチスの興亡・ヒトラーの権謀術数を述べているだけではない。筆者はナチスのことを「遥かな国の遠い昔ではなく」(第5章の表題)、現代のドイツや日本も直面する現在進行形の歴史だという。(日比谷野外音楽堂は満員、入りきれない人たちがぐるっと外を取り囲んでデモの開始を待つ)1985年ドイツ敗戦40周年に、リヒャルト・フォン・ヴァイゼッカー大統領は、ユダヤ人大虐殺について、あまりにも多くの人々が「起っていたことを知らないことにしようという試みを行った」と言い、あの...... more
Tracked from 梟通信~ホンの戯言 at 2015-10-05 13:32
タイトル : 日本にも潜んでいそうな 映画「顔のないヒトラーたち」
岸信介の孫が憲法を踏みにじる。どうしたってナチスのことを勉強しなおさなければと思う。麻生も「あの手口に学べ」といったし。それで読んだ、池田浩士の「ヴァイマル憲法とヒトラー」。そこに戦後のドイツにおいて、「過去に起こっていたことを知らないことにする」動きがあって、それにはあの「過去を前にして目を閉ざすものは、結局は現在に対して盲目となるのです」という発言で知られるヴァイゼッカー大統領(1985年当時)も大きな責任があることが指摘されていた。美辞麗句を言いながら、じつはSS長官・ヒムラーの個人的な参謀と目...... more
Tracked from みなと横浜みなみ区3丁目 at 2015-10-22 09:36
タイトル : 映画「顔のないヒトラーたち」を観ました。
[ CONTENTS ] ~クリックでジャンプ ・「侵略と虐殺」から目をそむける日本 ・元ナチス党員が跋扈する’50年代のドイツ ・立ち上がった「駆け出し」検事ヨハン ・検事総長フリッツ・バウアー ・収容所の存在すら知らなかった若者世代 ・大きく挫折する若き検事の「正義感」 ・動き出したドイツの戦犯追及 ・日本とドイツの″戦争総括”の違い ・ハンナ・アーレントとラウ...... more
Commented by maru33340 at 2015-10-04 07:41
見なくちゃ
Commented by k_hankichi at 2015-10-04 08:28
maruさん、我々に問われている気がしました。
Commented by およう at 2015-10-04 10:18 x
みます!
Commented by saheizi-inokori at 2015-10-04 10:26
「ヴァイマル憲法とヒトラー」(池田浩士)には戦後ドイツの為政者・権力者が美辞麗句に隠れて実は真の総括をしないばかりか新しいファシズム友でも言うべきことをしていること、それを批判する『戦場のピアニスト』などの映画のことが書かれています。
私も見に行くつもりです。
Commented by k_hankichi at 2015-10-04 13:18
おようさん、saheiziさん、現代の日本の、政治もこの通りに思いました。過去に盲目となる政治家たちは、現代にも盲目となっている。
Commented by およう at 2015-10-07 21:53 x
観てきました。ドイツ語聴けました。テーマ音楽もよかった(^^♪
Commented by k_hankichi at 2015-10-07 21:59
真摯なるドイツ人たち!音楽も、良かったですね。


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