『モルダウ』の旋律が聞こえてくる小説

スメタナの交響詩『わが祖国』の第2曲「モルダウ」(※)の旋律が聴こえてくる小説を読んだ。『存在の美しい哀しみ』(小池真理子、文春文庫)である。

“プラハには、中世がそっくりそのまま息づいている。さかのぼった時間の中の風景が、街の至るところに変わらずに生きている。彫像、尖塔、三角屋根、ドーム型の屋根、赤い屋根、青い屋根・・・・それらすべてがちまちまと、愛らしく小さく、渾然一体となって立ち並んでいる。そこに近代都市のもつ法則性は一切なく、巨大なもの、のしかかってきそうなもの、威嚇するがごとくそびえ立っているものも、何ひとつない。(中略)
ヴルタヴァ川をはさんで右岸と左岸。右岸に旧市街と新市街、左岸にプラハ城とマラー・ストラナ地区。すべてがわかりやすく、シンプルだ。地図はすぐに頭の中に入ってくる。それなのに、どこに行っても迷路がある。迷宮がある。”(第1章「プラハ逍遥」から)

この国を訪れたことがないけれど、あの深みのある哀愁の旋律が浮かび上がってくるように流れてくれば、いつか必ず訪れたいと思うのだ。

※モルダウは、チェコ語:Vltava ヴルタヴァ、ドイツ語: Die Moldau、英語: The Moldau。

存在の美しい哀しみ (文春文庫)

小池 真理子 / 文藝春秋

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Commented by およう at 2015-08-30 11:52 x
数年前に読んでいるー^^ いいですよね~(^・^)
Commented by maru33340 at 2015-08-30 12:20
久しぶりに小池さんの小説読んでみようかな。
Commented by k_hankichi at 2015-08-30 17:59
maruさん、プラハやウィーンに行きたくなりますよ。
おようさん、読まれていたのですね。作風が変わって来ましたよね。
by k_hankichi | 2015-08-30 06:25 | | Trackback | Comments(3)

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