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by はんきち

東京方言のこと

件の『和菓子屋の息子』(小林信彦)のなかに、下町弁について説明している章がある(「下町ことばのゆるやかな消滅」)。そのなかで、日本橋生まれの谷崎潤一郎が次のように言ったという。

“下町弁というのは、久保田万太郎の戯曲の中の会話であり、<滅び行く東京人の弔鐘であるとも云へる。>”

続いて、この久保田文学を引用して、国文学者の池田弥三郎が、下町言葉について四段階の分類をしていることも紹介している。その四段階とは、以下だという。

1. 私(池田)にはほとんど意味がわからないし、同時にそれを(人が)口にのぼせているのを聞いた経験がない語(56語)。
2. 意味はわかるが、聞いた経験が私にはないといった種類の語(34語)。
3. 今(1956年)は聞くこともないが、以前は私の周囲の年長者たちが、口にしていた語(11語)。
4. 私自身も時に使うが、今の若い人は使っていない語(11語)。

4には、<うじゃじゃける>、<とっこにとる(言いがかりのたねにする)>、<とちる>などがあるそうで、小林信彦は、それは今でも使っているそうだ。一方で、小林さんも分からないという1の範疇には、かわだち、こずむ、ざっかけない、などの言葉があるという。僕にもわからない。

このほか、小林さん流に分析すると、彼の祖母や父が使っていた言葉に以下がある、という。

<まっちかく> (真四角)
<まっつぐ> (まっすぐ)
<まっちろ> (真っ白)
<大川> (隅田川)
<下地> (醤油)
<いごく> (動く)
<あすぶ> (遊ぶ)
<めっける> (見つける)
<しゃむせん> (三味線)
<高慢なお子> (生意気な子供)
<えいとうえいとう> (押すな押すな)
<すけない> (少ない)

これはそんなに変形した言葉ではないから分かる。僕の母親は、深川に生まれ育ったので、もちろん、これらの言葉にさらに様々なものを加えて、僕ら兄弟を家庭で牛耳っていた。

そんな僕。最近も、仕事場で次のような言葉を使って話をしていたら、皆から「何・・?」ときょとんとされて、却ってびっくりした。

<おまめさん> (年端もいかぬ妹弟が、兄ちゃんたちの遊びのルールから度外視して仲間にいれてもらう際にそう呼ぶ)
<こまっちゃくれた> (小さいのに大人びた物言いをする子供)
<かたす> (これは皆知っているものの、「片づけるでしょ、日本語おかしい」、と直された)

方言というものは、ほんとうに奥が深い。
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by k_hankichi | 2015-08-25 00:47 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)
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Commented by およう at 2015-08-25 22:45 x
東京弁ってありますね^^ 久しぶりにお母様弁が登場(^o^)/
Commented by k_hankichi at 2015-08-26 07:34
はい、久々に!