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by はんきち

胆の据わった男の孤高・・・『生きるということ』(なかにし礼)

なかにし礼のインタビュー番組(http://hankichi.exblog.jp/24521093/)を観て深くため息をつき、そのなかで紹介されていた彼の著書『生きるということ』(毎日新聞出版)を買い求めて読んだ。

自伝を交えた本だけれど、芸術のマイベストテンまで交えた書は初めてで、それも含めて素晴らしい一冊だった。ハードカバーの表紙には、小田原千佳という画家の『貿易風』という絵があって、その自由でおおらかな風情にも心癒された。

本の構成は次のよう。

第1章 生きるということ
第2章 平和に生きる権利
第3章 異端として生きる
第4章 人生に必要な芸術ベストテン
      日本文学ベストテン/世界文学ベストテン/クラシック音楽ベストテン/日本映画ベストテン/欧米映画ベストテン/アジア映画ベストテン
第5章 至高の不良たち

まずは国家の統制から自由に異端として生きること、一人ひとりが例外的存在であることが、われわれに必要であるということを説く。次のように言う。

“人間は最終的に一人です。個であることを自ら抑圧して、誰かと徒党を組んで何かをしようとしても、それでは成し遂げたことにはならない。そこには感動は生まれない。人間は一人で悩み、一人で物事をなそうとするところから本当の共感が生まれる。それが鉄則です。ところが今は、(中略)「いいね!」と「悪いね!」(後注:ツイートのこと)以外の言葉のない世界が広がり始めた。人は言葉とともに、思考力を失いつつあるのではないか。

(中略)平和はエロチックであり、猥雑なんですよ。男と女、男と男、女と女、男と複数の女、なんでもいい。国は個人のやることにはとやかく言ってくれるな。僕は徹底した個人主義と平和主義です。国家の役割は個人の自由と幸福を守ることであって、それ以外のことで口を出すのは越権行為だと思います。”(「第2章 平和に生きる権利」より)

そして芸術ベストテンに移行する。それぞれのカテゴリーの第1位は以下のようだけれど、2位以下と、それから別格番外、超別格番外の作品も紹介してくれていて、ああ、この人は僕らと同じ思考をする人なのだなあ、と感銘する。

日本文学・・・大岡昇平『野火』
世界文学・・・ガルシア=マルケス『百年の孤独』
クラシック音楽・・・ブルックナー・交響曲第9番
日本映画・・・黒澤明『七人の侍』
欧米映画・・・チャールズ・チャップリン『チャップリンの独裁者』
アジア映画・・・チェン・カイコー『さらば、わが愛/覇王別姫』

なかにしさんが推すベストテン作品の幾つかも紐解きながら、この夏休みは楽しませてもらおうと思う。

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生きるということ

なかにし礼 / 毎日新聞出版

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by k_hankichi | 2015-08-11 07:33 | | Trackback | Comments(0)
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