最近、週末に有楽町・銀座に出かければ、必ず立ち寄る場所がある。交通会館のピロティに設けられているマルシェだ。全国津々浦々の農作・海産物が売られている。
※交通会館のマルシェ →
http://kotsukaikan-marche.jp/index.htmlいろいろなもので楽しませてくれるのだけれど、立ち寄って立て続けに買い求めているのが、MARCOMAR JAPON(マルコマール・ハポン)の、ボラのカラスミだ。お店の人は、売らんかなという姿勢が無く、しかし工芸品を扱うブティックのような、得もいえぬ雰囲気を湛えている。→
http://www.marcomarjapon.com/index.html長崎や台湾で買うそれを超えて濃厚で、太陽の香りがする旨さ。きっとそれは地中海なのだ。きゅうりや竹輪、笹かまぼこ、チーズに重ねて旨く、酒に合い、パスタにも合う。
調べてみれば、カラスミは古くからギリシャやエジプトで製造されていたそうで、Wikipediaによれば、イタリア語でボッタルガ(bottarga, bottarica)、フランス標準語ではブタルグ(boutargue, poutargue)、プロヴァンス地方の方言であるオック語では botarga となり、スペイン語やカタロニア語でも botarga と綴る。ポルトガル語 butarga、サルデーニャ語 butàriga、ギリシア語アヴゴタラホ(αυγοτάραχο)、英語でボターゴ(botargo)である、とある。
なんだ、唐墨ということではないのだ。これは東洋の産物ではなく、ヨーロッパ由来の食べ物なのだ。
そう思って味わっていると、西脇順三郎のような気持ちになってくる。もし、彼がこれを食べて詩を書いたとすれば、次のようになっているのではないか。
「西班牙(すぺいん)」
(覆された真夏の帆船)のやうな昼
何人か太陽を仰いで誰かとさゝやく
それは女神の食祭(ボタルガ)の日。
とにかく、ここのボラのカラスミは旨い。