「作家50人の直筆原稿 雑誌『風景』より」展のなかの一篇の詩

新宿歴史博物館で開催された「作家50人の直筆原稿 雑誌『風景』より」展をようやっと観た。
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昭和の作家たちの原稿の数々を眺めながら、文学を戦後の高度成長が始まるさなかに、きちんと広げていこうとした心意気が静かに沁み入った。

このなかに谷川俊太郎の次の詩があった。「七頁」という題の詩だ。

「七頁

新高円寺 東高円寺 新中野
駅を三つ過ぎるあいだに吊皮につかまって
妻を刺し殺した革命家の物語を読み終えた
ひどい人種だ作家なんて わずか七頁で
一人の男の一生を要約してしまうのだから

それから夜 寝る前に西洋梨を二つに切って
電動工具の型録を見ながら半分食べ
もう半分を冷蔵庫にしまってから思い直し
半分を半分に切って大きな方をとり
一寸迷ってから小さな方の四分の一を食べた

まだ歯をみがくという儀式が残っている
エルトリアの男たちも歯は磨いたのか
家の外にはきりのない暴力そして嘘
七頁でも多すぎるかもしれない もし言葉が
相変らず人を欺きつづけているとしたら」

いまの世の中のさまざまな事柄が、あたまのなかを渦巻いた。

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Commented by およう at 2015-07-06 07:43 x
谷川俊太郎さん、この詩をどのような直筆で書いていらっしゃったのかしら・・・。
Commented by k_hankichi at 2015-07-06 20:51
おようさん、美しく、魅力ある字体でしたよ。小説家、詩人の感性は、字に出るのだなあと思いました。
Commented by maru33340 at 2015-07-06 20:54
これは良い詩ですね。
知らなかった。
Commented by k_hankichi at 2015-07-06 20:55
maruさん、谷川さんが、いろいろなところで今も、そしてこれからも、生きていくと思いました。
by k_hankichi | 2015-07-06 00:38 | | Trackback | Comments(4)

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