降りたはずの駅で歩き始めると、どうも様子が違う。
「降りたあとは階段を上り左に曲がって…」と無意識にも頭にあったはずなので驚いた。
地下鉄なのに、出口に向かう階段が下り階段になっている。そんな駅はあまりないはずで、分かったのは三駅も手前で降りていたということだ。
「乗り過ごし」の逆の言葉はあるのだろうか?「乗り早し」だと最上川みたいな語感になるのでどうも違う。
そんなことを考えていたら、空想がどんどん拡がる。
「間違って降りた先はピョンヤンだった」
「東京の家をでて暫くして気付いたらサントノレ通りに立っていた」
「飛行機が着陸したのはセーベル・ナヤゼムリャ諸島だった」
「南千住の尾花に鰻を食べに行ったはずが、蒲田の焼き鳥屋にいた」
「仕事でみちのくに来たはずが、プレゼンをしつつ汗をかいていた」(こりゃ有り得る)
「シュトゥットガルト駅舎にてヘーゲルの哲学からの文を眺めていたら、隣にハイデガーが立っていた」
「モーツァルトの『魔笛』を聴いていたはずが、霧笛が響く神戸港に佇んでいた」
あー朝から、だんだん分からなくなってきました。