ブログ友達らがバッハの『フーガの技法』を聴きこんでいる。中高生時代のように何だか焦る。やばい僕も勉強せねば、というような感じだ。
そうは言ってもこの曲は苦手な類に入る。探しあぐねながら辿り着いたのは、アリス・アデールのピアノによる音盤だった。
アリスは、極めてゆっくりとしたテンポで弾きはじめる。ちょうど、平日の閑散とした夜のプールで、身を横たえながらゆらゆらと浮き身をしているかのよう。それは瞑想空間でもある。
第二曲はうって変わってゆっくりとしたジャジーな振る舞い。心踊らせて良いのかと途迷いながらもそうなる自分に気づく。
どの曲にも躊躇いと内省がある。
『フーガの技法』が少しずつ分かってきた。そう思う。
■音盤
Fuga Liberta MFUG544
■録音
2007年9月、ポワシー劇場