『不愉快な本の続編』の不愉快

小説の出だしの前に箴言的に次のように書かれていた。

“私は、早口にすこし言葉をもつれさせながら、そして、自分の滑稽さを承知しつつ、それは太陽のせいだ、といった。廷内に笑いがあがった。”(『異邦人』カミュ)

だから『不愉快な本の続編』(絲山秋子、新潮文庫)を読むということは、不条理との出会いなのだと思って掛からなければ、本当はいけなかったのだ。

結局、終わりまで読んでも、何ことやらさっぱり分からなかった。分からない小説なのに、妙に訳知りに解説を書いていた鹿島田真希というひとは、だから猶更、よくわからない輩だと思った。

それにしても、たとえ仮に不条理を伝えようとしたとしても、どうして呉から東京、東京から新潟、新潟から富山、富山から呉へと周回するかのように移りゆかなければならないのか。

それはね、人が生きているということが不条理だからさ。そんなふうに言ってしまえばおしまいだ。

僕は思う。この苛立たしいまでに憎たらしくなる感覚こそ、絲山さんが僕らに味わってもらいたかったことなのだろう、と。

決してカミュのことなんか、思うことはなかった。どっちみち、元に戻るのだ、ということだけは、分かった。

不愉快な本の続編 (新潮文庫)

絲山 秋子 / 新潮社

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Commented by maru33340 at 2015-06-11 13:29
この本まだ読んでないけど、持ってるんだよなあ(^^;
Commented by k_hankichi at 2015-06-11 23:09
三年寝太郎のような男の話だと、良いのだけれどもなあ・・・。
by k_hankichi | 2015-06-11 06:43 | | Trackback | Comments(2)

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