『大映テレビの研究』(竹内義和、澪標(みおつくし)刊)を読んで、あのころの違和感の源泉が何だったのかということがようやく分かった。
いくつかの試行錯誤があったのち、宇津井健の『赤い~』シリーズで、その型が出来上がったとする。宇津井主義(ウツイズム)が大映テレビのイズムになっているのだという。
「ウツイズムの5つのポイント」
1. セリフ:一言一言、力の強弱をつけて発音する。全体に重く、心持ち泣きを入れる。
2. 動作:背骨を基点として、各部位にピアノ線を通した気持ちでギクシャク動くこと。
3. 表情:目を吊り上げ、口をクワァッと開き、鼻の孔を拡げる。前髪をずらせば完璧。
4. 精神:常に、一所懸命を心がけ、なまはんかな気持ちで演技しない。
5. 人脈:脇に、石立や国広、風間などを配し、互いに競わせる。脚本は安本莞二で決まり。
なるほどなあ。そうだよなあ。惹き込まれる人はいるよなあ・・・。
僕がこの主義に、取り込まれなかったのは、もちろん、あちらの正義感と熱血の胡散臭さによるものなのだけれど、しかしもしかすると、いまもこの世の中に、この主義が存在しているような気がする。とくに政治と呼ばれる世界の中に。そしてそれは、どんどんと増殖し成長をし続けているのかもしれない。