『ヴィーク対ヴィーク』じゃあなければならない

『シューマンの結婚 -語れなかった真実-』(ピート・ワッキー・エイステン、音楽の友社)を読了。この本の原題は、“Wieck v. Wieck”。最近の洋物映画と同じく、題名が変更されていた。

ロベルト・シューマンは、クララ・ヴィークとの結婚に際してクララの父フリードリヒの反対に会い、1年余りにわたる裁判の結果、ようやくそれを許諾される。この本は、その裁判の過程における双方が出してきた主張や証拠、論考の内容を紐解いたもの。

男と女の結婚について、あとからとやかく言うものではなく、それが著名な作曲家であろうとも、人に言えない部分もあって、映画『浮雲』のなかの主人公・富岡兼吾(森雅之演じる)の振る舞いほどではないのだけれど、クララの父上の言い分も確かにあるなあと思う。

ラインに溺れる前の正気な時代、音楽(作曲)とクララと酒に囲まれていた絶頂期のシューマン。旺盛に作曲をおこないながら、複雑な法律書を読み弁護士と打ち合わせをし、そして夜は酒場に繰りだし痛飲する。それらの合間にイエナ大学・哲学科からの名誉博士号取得を得るべく画策する。結果、作曲家、音楽評論家、そして出版社としての功労によりそれを授かることになる。これらのエネルギーはどこから来ていたのだろうと思うほどの活動だ。

シューマンとクララはそして目出度く裁判所から結婚を認められ、愛と音楽の生活にのめり込む。二人は8人もの子供を設けることにもなる。

父親ヴィークからクララを勝ち取った顛末記。やっぱり、題名は『ヴィーク対ヴィーク』だなあ。

シューマンの結婚: 語られなかった真実

ピート ワッキー エイステン / 音楽之友社

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Commented by maru33340 at 2015-05-12 08:00
ここはやはり原題に1票だなあ。
何故映画や本の邦題は、2時間ドラマのようになってしまうんやろうか?
Commented by およう at 2015-05-12 14:25 x
ほんと^^ 数年前シューマンの映画を観ましたがクララの父上のことが何となく感じられました。ただその映画はクララのイメージが私から崩れてしまって、こちらの本で修正しましょうか・・・(*^^)v
Commented by k_hankichi at 2015-05-13 07:46
maruさん、おようさん、題名はダメだが、本の中身は良かったです。記録魔シューマンだったことも分かり、だからこういう本も書けたのだなあ、と感慨。
by k_hankichi | 2015-05-12 06:50 | | Trackback | Comments(3)

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