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by はんきち

「ワ、レ、ワ、レ、ワ・・・」僕らに残された昭和

このあいだの祝日に、日帰り温泉に出かけた。以前も出かけた、八王子からほど近い、しかし町田の端っこにある風呂だ。

さまざまな湯を楽しんだあとは、休憩室で横になる。小津安二郎の映画に関する本を読み、また、風呂に入る。そういうことを繰り返していた。小さな子供も親に連れられてきている。実に楽しげだ。

脱衣所でのこと。

回っている扇風機があった。5歳くらいの子供が走ってきた。突貫小僧か?と思った瞬間、回っているファンに向かって顔を向けた。

「ワ、レ、ワ、レ、ワ、ウ、チュ、ウ、ジ、ン、ダ」
「ワ、レ、ワ、レ、ワ、ウ、チュ、ウ、ジ、ン、ダ」

喉に空手チョップを当てながら、二度繰り返す。

僕の方を見やる。ニコリともしない。

「ワ、レ、ワ、レ、ワ、ウ、チュ、ウ、ジ、ン、ダ」
「ワ、レ、ワ、レ、ワ、ウ、チュ、ウ、ジ、ン、ダ」

喉に空手チョップを当てながら、二度繰り返した。

今度はこちらを見ずに、走り去った。

急に、自分が居る時間と場所が、どこだか分からなくなった。小津の本を読んでいたせいなのか?

ぐる、ぐる、ぐる。頭がめぐる。

宇宙人。

それは小津の映画の時代が終わったあとに僕らに残された昭和だったのだ、ということに気づいた。
  
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by k_hankichi | 2015-05-02 00:18 | 街角・風物 | Trackback | Comments(4)
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Commented by maru33340 at 2015-05-02 07:01
昭和幻想、であるなあ。
そいつは間違いなく突貫小僧(おそらく100人中1人もその由来は知らぬだろうが)であろう。
Commented by k_hankichi at 2015-05-02 07:16
maruさん、はい、小津映画を観ているようでした。
Commented by およう at 2015-05-02 11:36 x
その場の情景が目に映ります^^ 
Commented by k_hankichi at 2015-05-02 18:45
おようさん、男湯の世界、なかなか、凄いです。