ミステリーはやっぱり苦手だ、しかしこの徒労感が良いのだろうか
ミステリーはやっぱり苦手だ、しかしファンの皆はこの徒労感が良いのだろうか?そんなことを考えながら読了した。『症例A』(田島斗志之、角川文庫)。
精神科医の榊が、美貌の17歳の少女・亜佐美を患者ともつことになったところから始まり、精神疾患のいろいろな病状について、つぎつぎに展開されていく。そこに国立博物館に収蔵されている美術品が、模倣品ではないかという疑義のストーリーが重なっていく。
いつになったら答えがでてくるのか。だれが正常でだれがそうではないのか。読んでいくうちに、自分の気持ちがおかしくなってくるような感覚に捉われる。
ミステリーというのは、どうも人の心を手玉にとられていくようで、自分ではどうしようもないような形でコントロールされているその感覚が、たまらなく嫌になっている。
ああ僕にはやっぱり合わないのだなあ。ということを改めて思い知って、なんだか砂を噛んでいるような虚しさに襲われた。