セルゲイ・ハチャトリアンのバッハ・無伴奏・・・そっと寄り添い包み込んでいく儚さ
セルゲイ・ハチャトリアン(Sergey Khachatryan)のバッハの無伴奏ヴァイオリンソナタ&パルティータを聴いている。2000年のシベリウス国際ヴァイオリン・コンクールと2005年のエリザベート王妃国際音楽コンクールにおいて優勝している弾き手だという。1985年のアルメニア生まれだ。
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http://www.askonasholt.co.uk/artists/instrumentalists/violin/sergey-khachatryan
この演奏は掛け値なく素晴らしい。
そっと寄り添うような弾き方で、それぞれの音をとても丁寧に、やさしく大切に、両手で掬い抱えるように弾いていく。流れているかどうかわからないほどの微風。しかしそれはしっかりとそこにある。儚い夢を追い希求するかのようにも感じられるときもある。
いまの僕の心の奥底に深く深く沁み込んでいく。そしてそこで呼応し、僕の気持ちが重なって聴こえてくる。
弦が止る一瞬、あまりにもそれが消え入りそうで、はっとする。
こわれそうなほどに脆い心をもって、触れるか触れないか分からないほどにそっと包み込んでいく、福永武彦の小説に流れているような愛と哀しさと労りのような、そういう、比類できない種類のバッハだ。
■曲目:バッハ 無伴奏ヴァイオリンソナタ&パルティータ BWV1001-1006
■収録:2008.12月、2009.1月、L'heure bleue, Salle de musique, La Chaux-de-Fonds、スイス→
http://www.chaux-de-fonds.ch/theatre-musique-cine/musique
■音盤:Naive V5181
■Sergey Khachatryan - Bach Sonatas & Partitas For Solo Violin →
http://youtu.be/r5aYMmgGSb0