昨晩は疲れ切った身体を横たえて、そしてぐっすりと眠っていたはずなのだけれど、この明け方に観た夢はとてもはらはらとするものだった。オムニバス形式で、そのうちの二話くらいしか覚えていない。あと二話ほどあったのだけれど、話の筋からして思い出すのが怖いなぁ。
■Chapter 1
昼間の列車は実に長閑だ。横浜と思われる場所に向けて走っていた。目指すは或る企業だ。出張前に商談をひとつ片づけてからと思ってのことだった。ビル街の地下に車両は停車し、改札口を出た人々とともに僕はエレベータに吸い込まれていく。
52階までのボタンを押す。しーんとした箱の中で、突然と異常な揺れを感じ始める。普通ではない。地震だ。われわれは動揺する。最寄階に箱がすーっと停車し、外に吐き出される。下りに向かう通路を探す。人々はそれぞれの顔色を伺いながら、出口に向かって足を速める。階段を下って一階に着いた。
そこには大きなタイ風レストランがあった。地震があったことなど何処吹く風で、人々は食事を楽しんでいる。もうあの企業を訪ねている時間が無くなった。僕は行き先を変更することにして、テーブルの合間を通り抜け、戸外に出た。
バスが来た。運転手は慌てふためいて乗り込む僕を見て、「どこに行きたいのか?」と問いかける。「空港に」と答えると、「よしきた合点」とものすごいスピードで走り始める。へたくそな別のバスの走りを、鼻先で笑いながら、運転手は走り続ける。
住宅地を、商店街を、そして高速道路を、自由自在に走り抜けるバス。乗客は僕一人。だんだんと不安になる僕。それを片目で見遣った運転手は、含み笑いをしていた。笑みの理由がわからない。
■Chapter 2
あの地震は一体何だったのか? 後ろ髪を引かれる思いで日本を出て、僕は北アメリカに来て数日が過ぎていた。ようやくその出張を終えようとしている。そこはサンフランシスコ空港。いつものカウンターに向かう。
予約してある東京行きのチケットを貰おうとすると、「満席です、もう席はありません」と肩をすくめて言われてしまう。「そんなことはない、ほらここに購入した際の控えがある」と声を荒立てて詰め寄ると、警備の大男たちが僕の後ろに立ちはだかって来た。
途方に暮れて、今度は冷静な口調で係員の女性に語りかける。すると「実はオーバーブッキングなんです。シンガポール乗り換えでの東京であれば、こちらのフライトをご準備できるのですが」と言ってくる。東京着は夜の20時か・・・。僕は仕方なくその案を呑む。「お詫びにこちらのフライトをお付けします」と係員が僕に紙切れを提示する。シンガポールからスリランカまでの往復チケットだ。貰っても嬉しくない行き先だ。
どうしてスリランカなのだ!何なんだろう!と思いながら、出国ゲートに向かう。飛行機の席に着いて、そういえばあの係員の女性はインド系だったなあ、と記憶が蘇った。
到着先の南国で、またなにか事件に巻き込まれるのでは、という不安が頭を過る。そんなことはない、それは思い過ごしだろうと頭を振って、疲れた身体をシートに埋めて眠りに着いた。