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by はんきち

フランスを憧れつづける大地・・・純粋なる精神の高揚と悲しいまでの美しさ

カナダのケベック州モントリオールの二日目、街を歩いているだけで、ここがフランスにいるのかという感覚に捉われ、しかし、どこかしら違うこと、そしてそれは何なのかということを考え続けてしまう。思いあぐねながら、ようやっと気づく。この土地には、「失われた故郷への哀願感」が漂っているのだ。

フランスを逃れ、新大陸に故国と同じような風情の街を形作った祖先たち。その果てにある現在。いまや彼の国のどの街よりも裕福で、輝きに満ち溢れ、アメリカ合衆国とは一線を画した冷静なる気品を保っている。

素晴らしい成功に包まれていながら、心の底では母なる国を憧れ続けている。いつの日か、逃れ去った場所のようになりたいと思っている。しかしそのようには永遠になることができない。そういう悲しい宿命が、そこまで積み重ねられた時の重みと共に、その空間のなかに漂っている。

だからモントリオールは悲しい。悲しいけれど、これが親を捨てた子の宿命なのだ。いまもまだ旧大陸のから多くの人たちがこの地に流れ続け、それを受け入れていながら、子供のまなざしをどこか持ちつけている。母なる国を想い敬愛する憧憬とともに、褒めてもらいたいがそのようにならないという焦燥がそこにある。

Montreal Museum of Fine Artsの前に'The Eye'(David Altmejdによる)という銅像があって、その彼の心を思い馳せた。ミケランジェロのダビデ像の姿勢をしながら、頭は自分自身の幾つもの手で覆われ、胸にはぽっかりとした穴が空く。大きな翼を背負って、その力は無限なまでに強いのに、それまでの意気込みと裏腹に、自信を失いそうになってしまう。

フランス語を頑なに守りつづけ、どこもかしこも旧大陸のその国のように振る舞おうとする、その純粋なる精神の高揚と、その悲しいまでの美しさの前に、僕はただただ頭を垂れた。

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by k_hankichi | 2014-09-05 11:41 | 街角・風物 | Trackback | Comments(2)
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Commented by およう at 2014-09-05 17:19 x
カナダは美しい国と聞いておりましたが、はんきち殿の文章からあらたな情景が浮かんでまいります。感動が伝わってくるような^^
Fotoのボックスは靴回収ボックスですか?不思議なstatueもなるほどです。美味しいもの、召し上がってきてください(^.^)
Commented by k_hankichi at 2014-09-05 18:16
おようさん、ボックスではなく広告塔のようです。はい、料理はアメリカ合衆国とは比較できないほど美味しいです。