青い空と夜の月

カリフォルニアの空は、雲ひとつない青空で、それは悲しいほどに綺麗だった。なだらかな起伏が繰り返される土地の彼方には、もちろん地平線があって、その先にも同じような景色が繰り広げられるのだろう。

広大な、とにもかくにも広大な土地と、その空のしたで、僕は、途方もなく遠い彼方に来ていることをようやっと知る感じがした。

夜になった。

空には昼と同じく何もなくて、それは透明で、「しん」としていて、でも、たった一つ違うのが、大きな月が出ていること。

月の中には、日本でのそれと同じように、兎が餅を搗いていて、あれまあ、アメリカさんにも兎さんがいるのね、とそのありさまにびっくりする。遠く太平洋を渡ってきたかと一瞬、狐につままれたような気持ちになる。

時差のせいで眠れない夜に、川上未映子の『発光地帯』(中公文庫)を読んでいたら、ますます、遠い彼方にひとりぽっちで居る気がしてきて、そのなかにはまた、川上さんがアメリカ旅行をしたときの日記のような項もあり、ああ、彼女もおなじような気持ちになったのかしらんと思って、またちょっと寂しさが増した。

発光地帯 (中公文庫)

川上 未映子 / 中央公論新社

スコア:


 
[PR]
トラックバックURL : http://hankichi.exblog.jp/tb/22352390
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
by k_hankichi | 2014-07-11 19:04 | 街角・風物 | Trackback | Comments(0)

音楽、小説、そして酒を愛する方々との空間です


by はんきち