朝から晴れ渡った梅雨の中日、昼前からは入道雲がむくむく拡がり、真夏さながらになった。
苦悩を振り出しにしながら、溌剌とした生きる喜びに満ちる曲想のシューマンのピアノ協奏曲がピッタリに思えて、通勤の行き帰りで聴いている。この曲は誰が演奏するものでも好きで、今日はウィルヘルム・ケンプ、ヨゼフ・クリップス指揮、ロンドン交響楽団によるものだから、なおさら心地よい。
僕にとって、この曲は特別な思い入れがあって、それはウルトラセブンの最終回で流された音楽だと知らされているからだ。
ドラマのクライマックスで、変身する前の諸星ダンは、アンヌ隊員に、とうとう自分の正体を明かす。まさにそのときに流されのがこの曲の出だし部分なのだ。
子供のころに観た、その衝撃的なシーンばかりが脳裏に刻まれていたのだけれど、それはこの音楽が拍車をかけて倍加させていた。
よくぞ選んだものだと只々感心しながら、ケンプはM78星雲のことは知らなかったのかな、と思ったりした夕闇だった。