激しい雨音で目が覚めた。木々の葉に当たる音、隣家の屋根からの音は定常音。にに軒の雨樋が溢れての間欠音が加わる。
しばらく聞いているうちにこりゃジャズだと思えるようになる。ビル・エヴァンス・トリオだ。
これは大変だとそそくさに起き上がり、とるもの取り敢えず、仕事に向かう。
バスは超満員。いきなりの繁盛ぶり。顔をしかめる人たち。
駅に近づく。と雨脚が弱まり、いつしか雨は降ってない。それどころか地面は濡れてもいやしない。それぞれが怪訝な顔の乗客たち。
雲陰がある。薄雲だ。明るい陽がほのかに射している。先ほどまでの喧騒は何だったのかしら。
朝からキツネにつままれた。