友人がだいぶん前に読んだという本は、その気になるまでに時間が掛かった。
いろいろな事柄が矢継ぎ早に起き、なにか自分が自分で無くなっていくような、さらには、人の乗り物に乗せられて行き先のわからないところへ運ばれてゆくような感覚にとらわれていた週末、無性に読みたくなり、みちのくに向かういつもの鉄路で読了した。『置かれた場所で咲きなさい』(渡辺和子、幻冬舎)。
ひとつ一つの言葉が染み入る。折に触れ読み返さなければと思う。
“働くことはすばらしい。しかし、仕事の奴隷になってはいけない。”
“価値観は言葉以上に、実行している人の姿によって伝えられる。”
“子どもは親や教師の「いう通り」にならないが、「する通り」になる。”
“時間の使い方は、そのままいのちの使い方になる。”
“信頼は98%。あとの2%は相手が間違った時の許しのために取っておく。”
“大切なのは「人のために進んで何かをする」こと。”
深くつく溜め息吐息のなかに、真実、という名前がついた目に見えない粒子のようなものが散りばめられている。