オン・ザ・ロックがぴったりの旨いジン・・・シップスミス、そしてエリック・サティのグノジエンヌ
昨夕、いつも行く酒屋で見つけたのは、ロンドン・ドライ・ジンのひとつ、シップスミス・ジン(Sipsmith)→
http://www.sipsmith.com/our-spirits。ちょっと黒魔術的な風合いもあるボトルデザインに思わず惹かれて買ってしまった。アルコール度数は41.6%と高めではなく手頃である。さっそく、晩酌にオン・ザ・ロックで、ジンの味だけを確かめる。
こ、これは・・・。花形満が、星飛雄馬の魔球に初めて遭遇したときのような驚きに包まれる。一口、もう一口と呑み進めるほどに、それがこれまでにないものであることに気づき、そして怖れに変わってゆく。あたかも、大リーグボール1号であるということに確信を深め、背筋が凍ってしまった打者のように。
つまり目の玉が飛び出るような旨さであって、その旨さは、レモンや炭酸やトニックウオーターなどを混ぜてはならないもので、まさしく英国人のうち震えるような職人魂と、酒を愛する丹念なやさしさに包まれているものだということがわかる。
調べてみるとこのジンは、ウエストロンドン・ハマースミスという場所で、ウイスキー評論家のオフィス跡地に2009年に創業したクラフト蒸溜所によるものだそう。銅製の超小型の蒸溜器を使用し、1バッチ200本づつ、丹念に作られる。10種類のボタニカルに浸されている。ロンドンで銅製の蒸溜器が稼動したのは1820年以来という、とても希少な造り手だ。
Youtubeで紹介される彼らの製造所、造り手の情熱は、なんだか映画の一シーンのようにも見える。エリック・サティのグノジエンヌ(Gnossiennes)第3番のBGMがよく似合う。
ジンというものの概念を極め、今風の大量生産という路線から大胆に離れた、超絶の逸品だった。
※彼らが選んでいる10種のボタニカル:
Juniper Berries
Lemon Peel
Orange Peel
Orris Root
Liquorice Root
Angelica Root
Almond Powder
Coriander Seed
Cinnamon
Cassia Bark
■造り手による解説(映画のようだ!) →
http://youtu.be/cCdF3NKQv4c
■2010年のNew Comerとしての評された動画→
http://youtu.be/pLkuJ1Cwo7I
■エリック・サティ:グノジエンヌ第3番 →
http://youtu.be/g8Yoz9Nh21k