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『虹の館 ‐父・堀口大学の想い出‐』(堀口すみれ子)
堀口大學の訳詩集を高校・大学時代から好んで読んでいた。その彼がどんな生涯を送ったのか。それは長谷川郁夫による伝記『堀口大學 詩は一生の長い道』(河出書房新社)に詳しく、出版されてからすぐに購入したものの、まだ完読できていなかった。

そんななか今日、初めて訪れた世田谷の古書店キヌタ文庫http://www.samuraihonpo.com/で、この本を見つけて取るものとりあえず買い求め、読み通した。『虹の館 ‐父・堀口大学の想い出‐』(堀口すみれ子、かまくら春秋社)。

娘が語る大學の人となり、そして父親として生活人としての彼の姿である。大學は恋多き男だったが、47歳のとき、19歳だったマサノと結婚する。すみれ子は、大學が53歳のときに設けた子供で、その二年前に生まれた長男とともに溺愛をしたことが、この本を読むとよくわかる。

マサノと結婚できるようになったときと思われる詩は素朴だ。

「不可能も」

不可能も可能でした、
清らかなわたしの乙女よ、
欲念も美しかった、
白ばらのおん身のゆえに。

そして、すみれ子が嫁ぐときに書いた詩がこれだ。

「箱がき」

愛用の色絵古久谷
なでしこ文様の三角小皿
欠けたのもまじる四五枚
よき妻に、よき母親に
なった後にも時々は
取り出して使っておくれ
二九 十九の君が春の日
だんらんのゆうべゆうべの
父母の思い出草に

この深き愛の気持ちに、おもわず涙が出てしまった。

虹の館―父・堀口大学の想い出

堀口すみれ子 / かまくら春秋社

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by k_hankichi | 2014-03-15 19:57 | | Trackback | Comments(8)
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Commented by maru33340 at 2014-03-15 22:14
うむむ、良さげな本であるぞ。
タヌキ書房と最初読んだが。
Commented by k_hankichi at 2014-03-15 23:14
良い文章です。吉田健一さんの娘さんを思いだしました。
Commented by およう at 2014-03-15 23:21 x
すごい方を何気なく記していらっしゃる貴殿・・・。
この時代の著名人たちの凄さよ!まだまだJeも勉強すること、山積みです。
Commented by k_hankichi at 2014-03-16 09:40
詩人の感受性の豊かさに触れ、とても爽やかな気持ちになっています。
Commented by s_numabe at 2014-03-16 10:08
すでにご架蔵かもしれませんが、関容子さんが生前の大學にインタヴューしてまとめた『日本の鶯 堀口大學聞書き』も素晴らしいですよ。老詩人の柔和な語り口が聴こえてくるようで。今では岩波現代文庫でたやすく読めます。
Commented by k_hankichi at 2014-03-16 11:12
numabeさん、知りませんでした。さっそくネットで注文しました。楽しみです。ありがとうございます。
Commented by sara at 2015-07-06 17:03 x
懐かしい懐かしい本です。とある女性誌の巻頭、美しい写真と共に毎月この方の文章が掲載されていたと、記憶しています(違うかも!)。刊行される際、その写真も一緒に、本にしてもらいたかったと思ったのでした(これもあやふや!)。時が経ち、すっかり忘れておりました。こんなところで出逢うとは。私の記憶も危険なお年頃。
Commented by k_hankichi at 2015-07-06 20:54
saraさん、そうなのですね。大學の娘さん、葉山の丘の上に住まわれていたようなこともお聞きしました。