シューマンのVnソナタ・・・黄昏の甘美な憂愁(第一番)と自己との葛藤からの解放(第二番)
昨日から聴き始めたのはシューマンのヴァイオリンソナタ。クリスチャン・フンケ(Vn)、ペーター・レーゼル(Pf)による。
昼下がりから黄昏にかけての、夢見心地の甘美なる憂愁と、そこからの回帰が、ソナタ第一番だ(イ短調作品105)。
第二番(二短調作品121)は、うって代わって、生との葛藤がテーマで、この峻巌さには力が沸く。
第一楽章は、自分自身は何ものなのかを自問自答するような葛藤系。ロマン派的なあらゆる旋律と和声進行が埋め込まれる。
第二楽章は、甘美な時代への郷愁とそれを遮る現状認識の対比だ。
ピチカート奏法で始まる第三楽章は、二十世紀的な響きさえする。曲想が変わる後半は、小津安二郎の映画音楽(斎藤高順作曲)的な乾いた甘美さに終わる。
終楽章は、内面の全てのあらがいから解き放たれ、未来への希望さえ垣間見える温かな血潮のたけびで締め括られる。シューマン的なる感覚で溢れる快活さだ。
■曲目
Robert Schumann
1. Sonata for violin & piano No. 1 in A minor, Op. 105
2. Sonata for violin & piano No. 2 in D minor, Op. 121
■演奏:Christian Funke (Violin), Peter Rösel (Piano)
■録音:Recording Date: Jun 1982、Dresden, Lukaskirche
■音盤:Berlin Classics 0002842CCC(原盤 東独Schallplatten Berlin)